今回の「親バカ青春白書」がいかに神回であったか。
皆さん、しばらくぶりです。
ここ最近、頭の中でこねくり回した感想や考察をTwitterに連投することが増えていったので、この機会に久しく書いてなかったブログを再開してみようと思い今回の記事を書いてみました。
復活第一弾のテーマは2020年8月2日から放送開始した、福田雄一監督作品でありムロツヨシが主演を務める「親バカ青春白書」について。
実は8月30日に放送が終了した「仮面ライダーゼロワン」の一年間観てきた総括としての感想と迷ったのですが、私は「仮面ライダー」シリーズについてかなり思い入れが強い方だと自負しているのでどうしてもかなり肩の力が入った文章になってしまいそうだと思いました。
そこで最近見た仮面ライダー以外の作品についてだったらいくらかは肩の力を抜いて書けるのではと思い、今回のテーマを選びました。(※肩の力を抜いて書けるというのは決して適当に書いておけば良いという意味ではないです。)
福田雄一に関して
「福田雄一」という人物に関して今ではその名を知らない人の方が少ないとは思いますが、一応補足として。
福田 雄一(ふくだ ゆういち、1968年7月12日 - )は、日本の劇作家、放送作家、ドラマ・映画脚本家、舞台・ドラマ演出家、映画監督。劇団「ブラボーカンパニー」座長。コメディ作品を次々に生み出し、ムロツヨシ、佐藤二朗といった個性派俳優を抜擢し、「コメディの奇才」と称された[1][2]。血液型A型[3]。(Wikipediaより出典)
父親がお笑い好きの影響で自身も小さい頃からお笑いが好きであり、小学生の頃、学期末ごとに開催される「お楽しみ会」では毎回台本を書き、コントを披露していたそうです。
中学・高校の頃はゴルフに夢中になり、高校の先生に薦められてゴルフ部のある成城大学に入学、プロゴルファーを目指していましたが、部費が予想以上にかかることや、自身のゴルフの腕前に夢を諦めざるをえなくなり、一時的にですがノイローゼ状態に陥りました。
そんな彼を救ったのが劇団第三舞台の舞台。たまたま見た小劇場ブームを伝えるニュースに昔の「お楽しみ会」の楽しかった思い出が蘇り、早速観賞しに行きました。
笑えるお芝居をする劇団があることに衝撃を受け、入部先を演劇部に変更。演劇漬けの日々を送り、成城大学の学生劇団を母体として1990年に劇団「ブラボーカンパニー」を旗揚げし、座長として全作品の構成・演出を手掛けました。
日本テレワークに入社後、独立しフリーの放送作家に転身。バラエティ番組の構成を多数手がけ、さらにテレビドラマや映画の脚本・演出にも活動の場を広げていきました。
特徴としては基本的にコメディ&ギャグ路線であり、更に気に入ってる俳優に関してはアドリブを多用させることが多いですね。この個性的な作風で深夜ドラマである「勇者ヨシヒコシリーズ」が徐々に注目を集め、「スーパーサラリーマン左江内氏」や「今日から俺は!!」などで「監督・福田雄一」の名を世に知らしめました。
ただし、これは個人的な意見ではありますが「今日から俺は!!」に関しては私はあまりハマれませんでした。
というのも、いつものほのぼのとしたコメディ系だと思って観てたら意外と暴力描写が凄かったこと。例えるなら、家庭的な優しい味の料理が食べたくて注文していざ食べてみたら、かなりカロリー高めで重めな味だったこと。(そんな実体験はないけれどw)「事前に聞いてた情報と違うじゃん!」みたいな(笑)
そんなことがあり、今回の「親バカ青春白書」に関しては視聴前は「まあ、一応見ておくか」という感じでした。
しかし、ちゃんと見たらこれが「家庭的な優しい味の料理」だったわけですよ。
デビュー作のヒット以降、全く売れない小説家・小比賀太郎、通称ガタロー(演-ムロツヨシ)が母・幸子(演-新垣結衣)を幼い時に亡くした娘・さくら(演-永野芽郁)を心配するあまり過保護になり娘と同じ大学に入学。また一から大学生としてさくらやその仲間たちと大学生活を始めていくことになります。
ガタローのいつもふざけているけど、時には小説家特有の観察眼や持論(だと勝手に自分は解釈しています笑)を展開しトラブルを解決に導く独特な雰囲気に周りは巻き込まれながらも引き込まれていきます。
新型コロナウイルスの影響で撮影時期が遅れたものの、コロナへの不安を吹き飛ばしてくれるような、前向きな明るい気持ちになれる作品です。
特に今回の第五話に関してはかなり気に入ったので、一度感想を書いておこうと思ったわけです。
※まだ見てない人はネタバレ注意!!
小説家という昔からある職業と、YouTuber(動画クリエイター)という今どきの職業
今回は大学に通いながら「YouTuber」という今どきの活動をしている根来恭介(演-戸塚純貴)がメイン。
当初は自身のチャンネル登録者が20人しかいなかった根来だが、ある「フラれ動画」がバズり、一気に人気YouTuberに。
動画による収益が増え、スタッフも付くようになり、動画に出演してくれた女の子から遊びに誘う連絡が次々と来てまさにウハウハ状態。性格もどんどん傲慢になっていきます。
そんな傲慢になっていく根来に周りの仲間は苦手意識を感じるようになります。しかし、ガタローだけは根来の動画を毎日チェックしつつ、傲慢になっていく根来を気にかけます。
そんな中、さくらと同じ大学の同級生でガタローを小説家として尊敬している畠山雅治(愛称はハタケ)(演-中川大志)は山本寛子(演-今田美桜)の策略(?)でさくらと急接近。交際を始めます。
そんな二人のデート初日を当然のように邪魔するガタロー。
ハタケはさくらと相談して、ガタローに「さくらと二人っきりでデートがしたい」と言い出そうとしますが、根来のチャンネルの更新が止まったことが気になったガタローに半ば強引にさくら共々、根来の自宅を訪ねます。
根来は家にいたものの、辺り一面散らかし放題。根来曰く、動画の企画がどんどんやらせにしか思えなくなり、全く次の企画が思いつかない状態。それでも動画の更新時間は待ってくれないし、焦燥感からつい物に当たってしまったとのこと。
そんな根来にガタローは「散らかったままだったら、何も思いつかないからみんなで部屋を片付けよう」と提案します。
実はスランプ状態であった根来をガタローは自身の作家人生と重ね合わせていたのです。デビュー作で最初はちやほやされても、その次に出した作品が今度は全く売れずに誰にも見向きされなくなってしまいます。「天国」から一気に「地獄」へ。その辛さを経験しているガタローだからこそ、次の新作動画に悩む根来の気持ちに痛いほど共感できたのでしょう。
また根来が動画の収益で稼いだお金が、たまたま撮影しっぱなしになっていたカメラの映像に、根来のチャンネルのスタッフだった人間に盗まれたことが発覚し、スタッフが所属する事務所前まで根来を加えた四人で行きます。
お金を盗んだスタッフ二人が、ちょうど事務所を出てきたところを問い詰めるガタローと根来。さくらとハタケは何かあったときのための証拠動画を撮るため、隠れながら見守ります。
スタッフは悪びれもせずに、そんなに言うなら返しますよーと言った感じでヘラヘラしながら根来に返します。しかし、最後に太った方のスタッフが「一発屋のくせして調子乗ってんじゃねーよ!」と鬱憤が溜まっていたのか悪態をつきます。
根来は反論する気になれずに「もういいです。」と話を終わらせようとします。しかし、ガタローは「お前が言わないなら俺が言う。」と前置きし、スタッフに「一発屋、馬鹿にすんじゃねぇ!」とキレ返します。
「一発当てただけでも凄いのに、一発も当てたこともない0の人間がとやかく言う資格はない。こっちは二発目当てるために必死に頑張ってるんだ!」
と熱く語ります。最後に「今度、同じようなことを他の奴にしたら証拠映像をネットに公開してブタ箱にぶち込んでやるからな」とガタローが脅すと、怯んだスタッフは逃げるようにその場を去っていました。
ガタローは根来にも「お前もお前で取られたお金をすぐにあきらめるな。あとここ最近のお前性格悪かったぞ」と指摘します。
四人で自宅に戻り、今までの態度を謝罪する根来。お詫びとして飯をご馳走すると言った彼は、実家から送られて来たという鯛まるまる一匹を冷蔵庫から出し、専用の道具でさばき始めます。実は根来の実家は漁師であり、魚のさばき方については小学生の頃から教え込まれていたそう。
あまりにも綺麗な根来のさばきっぷりに感心する一同。ハタケはこれを動画にしたらいいんじゃないかと提案します。
根来にとっては魚をさばくことは当たり前のこと過ぎて動画にすることさえ、思いつかなかったそう。ガタローもこれだったらやらせ一切なしだから良いと太鼓判を押します。
この回で重要なポイント
それはやはりガタローが自分自身と根来を重ね合わせている点だと思います。
昔からある「小説家」と今どきの職業である「YouTuber(動画クリエイター)」。一見するとあまり共通点のないように感じますが、よく見てみると「売れる」「売れない」が関係しています。
「小説家」や「YouTuber」に限った話ではありません。歌手やバンド等の「音楽アーティスト」、「芸術家」、「美術家」、「芸人」、それこそ「俳優」であったり。
一般的な仕事に比べて、一見華やかに感じますが、「売れる」までがそう簡単に上手くは行きません。例え、売れたとしても注目された作品以上のものを常に作っていかなかればならない。緊張と不安という名のプレッシャーが常に降りかかって来ます。
お金に関しては売れれば売れるほど稼げますが、売れなくなってしまえば一気に収入が減ります。安定のない、常にリスクがつきまとう仕事と言えるでしょう。
そんな辛さを一番分かっているガタローの言葉だからこそ、視聴者の心に響くのではないのでしょうか。
これがもし、ガタローが普通の会社員だったら。「分かったような口聞いてんじゃねぇよ!」と反感を買う事でしょう。(そう言ってる僕も誰かから反感を買いそうですが・・・・・・(苦笑))
制作陣がどこまで計算したのかは分かりかねますが、「小説家」という設定のガタロー。「YouTuber」という設定の根来。この二人は実はとても良く似てるし、共に分かり合える関係なのです。
根来を同じく「華やかだけど常にリスクが付きまとう仕事の立場の人間」として正しく導くガタロー。その後、ガタローの家にとある事情で居候しているさくらの同級生である衛藤美咲(演-小野花梨)に(ガタローの作品を全部読んだうえで)「新作が読みたい」とお願いされます。
きちんと作品全部に目を通し、新作を待っているファンがいる。「根来のこと言ってられないな」と感じたガタローは出版社の担当編集に電話し、ストップしていた執筆活動を再開することにしたのです。
このシーンは美咲の言葉で動いた場面ですが、根来の一件があったからこそ、ガタローが自分自身を見つめなおし、また一歩進むきっかけになったのではないかと思います。
最後に
この記事を書いている私自身は特に何かを一発当てた経験があるわけではないのですが、YouTubeの活動をしていたことがあったので「売れる」「売れない」に関しては少しですが共感できました。
まだ仕事探しの真っ最中の身でありますが、このエピソードをきっかけに自分自身を見つめなおし、一歩進めたらなと思います。
ちなみにこのエピソードはお気に入り過ぎて三回も見てガタローの「一発屋、馬鹿にすんじゃねぇ!」で三回とも泣きました(笑)
最後まで読んで頂きありがとうございました。